ミャンマー(ビルマ)難民支援活動報告

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NGO海外研修プログラム参加者レポート(持丸さん)

インターンシップを振り返って

慶應義塾大学総合政策学部3年
 持丸 彰子
研修期間:2006年8月1日~8月30日


 1ヶ月という時間は長いようで、すぐに過ぎてしまうもの。SVAの研修期間に東京事務所の方に言われた一言を思い出し、今実感しています。タイで過ごした1ヶ月間は、本当に駆け抜けるようにして毎日が過ぎてゆきました。
難民として生きるごく普通の人達が、どのような暮らしをしているのだろう。私は自分の目で、耳で感じながら、ミャンマーという国の実情を知りたい。自分の実感したことを、日本の学生に伝えたい。そうした思いから、私はインターンの一ヶ月を通して、キャンプの内外で30家族40人の難民の方々にインタビューを行いました。
インタビューを通して浮き彫りになったのは、私と同じ、ごく普通の人達が、地雷・殺害・レイプ・強制労働といったあらゆる被害の犠牲となっているという事実でした。暗い過去を淡々と語る人や、思い出し怒りに震える人、涙に声を詰まらせる人。彼ら一人ひとりの言葉を聞きながら、理不尽さへの言いようのない悔しさ、あらゆる気持ちが私の胸に押し寄せました。それと同時に、自分の無知さと無力さを感じ、私に何かできることはあるのかと、ひたすら考え続けた毎日でした。
「日本人が私の話を聞いてどうするんだ。信じるわけがない。日本兵もビルマ軍と同じことをしてきたんだから」
あるキャンプに住むご高齢の方が私に言った一言です。インタビューには応じてくれたものの、なかなか弾まない会話の糸口を探していた私には、彼の気持ちを察することができませんでした。想像もしていなかった言葉にショックを受け、戦争の被害がこれだけ根強く残っているということ、自分の生きる社会は彼と繋がっているということを痛感した出来事でした。
 相手との信頼関係を築くことの難しさ、そして私は常に私の目の前で起こる出来事の当事者であるという意識。インターンの経験を通して得たことは、私にとって何にも変え難い財産となりました。誠心誠意を持って、相手と向き合うこと。何よりも大切にしたいと思う姿勢を、私はタイで過ごした1ヶ月の中で学びました。
帰国してから、「伝えたい」という一心で撮り貯めた写真やインタビューをもとに、今は大学の講義やワークショップの場で自分の経験を私と同世代の人達に伝え始めています。小さな努力も現状を変えていく力を生む。どんな形であれ、少しでも自分に出来ることを見つけ、行動していくことが大切なのだと思っています。
とにかく毎日五感をフルに使って吸収したい、そうした気持ちで臨んだインターンでしたが、これだけ自分が何かしたいと思い、一生懸命になれたことは、周りの人達の支えがあってこそだと思っています。とても貴重な体験をするチャンスを与えてくださり、支えてくださったSVAの皆さんとその他大変多くの方々に、そしてインターン中に誰よりもお世話になった鮎美ちゃん、菜穂ちゃんに、今は伝えたい感謝の気持ちでいっぱいです。本当にどうもありがとうございました。

NGO海外研修プログラム参加者レポート(島田さん)

一橋大学法学部4年  島田菜穂


◆テーマ
難民キャンプにおける支援のあり方や問題点に対する、人々へのエンパワーメント(教育支援や職業支援、自立性の確保など)という観点からの検討。
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難民キャンプで生活するカレン民族の人々に対して、地域に根付いた最も身近な支援を行うCBO(Community Based Organization)に焦点をあて、難民の人々の自主的な取組みを研究する。

◆研究方法
テーマに従い、キャンプ委員会(C.C)、カレン女性機構(KWO)、カレン青少年機構(KYO)を対象にインタビューを行う。


レポートへのリンク(PDF形式)

NGO海外研修プログラム参加者レポート(高橋さん)

高橋 鮎美
桜美林大学 国際学部2年


日程
2006年8月1日~8月30日までの30日間。Tak県Mae Sodにて。

実習の具体的内容
私はあらかじめ相談して決めた研修テーマに沿って全日程活動しました。その研修テーマとは「第三国定住の実体を難民の精神面からアプローチし、検証する」で、そこで今回のインターンではキャンプ住人が受けているストレスと第三国定住への関心・知識を調査しました。
 メインで行った活動としては、難民キャンプで生活している人々のメンタルヘルスと第三国定住についての知識・関心を調べるためのアンケートで、Mae Laキャンプでは120部、Umpiumキャンプでは80部をSVAスタッフに配布していただきました。図書館利用者を中心に配布したため回答に少々偏りがみられますが、とても参考になる貴重な資料となりました。研修日程の前半はこのアンケートの作成と配布を行い、後半では回収と結果分析にあたりました。
 またもう一つメインで行った活動内容としてインタビューがあります。KYOやKWOといったキャンプコミティーを中心に、組織から客観的に観たキャンプ住人のメンタルヘルスについていくつか質問しました。しかしながら個人的な意見や思考がほとんどで思うような回答が得られず、そこでいくつかのNGOにもインタビューをさせていただくため足を運びました。また、精神的に問題を抱えているひとや女性・子供を暴力から保護する施設、セーフハウスを訪れ、実際にそこの居住者やスタッフの方にもコンタクトをとる機会があり、インタビューも行うことが出来ました。
 トータルでMae Laキャンプには7回訪れる機会があり、Umpiumキャンプには2回訪問しました。キャンプ訪問日以外は事務所で、自らの研修テーマに基づいた資料作製や調査等に時間を充てました。

テーマに関する成果
 2つのキャンプで実施したアンケートにより、大まかではあるがメンタルヘルス・第三国定住に関して、また各個人のバックグラウンドに関する質問も設けていたので、それらに関する多くの人のデータを得ることが出来ました。それぞれのキャンプに配布したアンケートの回収率は70%以上となかなか良く、そのデータを元にメンタルヘルスに問題がある人を私なりに分析したところ、「多文化間精神医学」でWestermayer氏が報告したものと似たような結果を得ることが出来ました。およそ30%の回答者が精神的問題を抱えていると考えられるのです。
 一方インタビューではキャンプコミティのスタッフからは上手く欲しい情報を得ることが出来ませんでしたが、セーフハウスでは実際にメンタルディスオーダーの人とコミュニケーションをとる機会があり、また第三国定住を控えた人や拒否された人にインタビューする機会も得られました。精神的問題を抱えている人と実際に会ったのは初めてでとても衝撃的であり深く印象に残り、セーフハウススタッフの話からも、今後のメンタルヘルスに関する注目とサポートが必要なことを再確認しました。それから第三国定住については各国の受け入れ条件も調査しようと試みたのですが、それを公開している国は少いようで、また全ての国の申請者を集めることは不可能だったので情報を得ることが出来ませんでした。定住前の精神状態をうかがうことは少人数でしたが出来たようにおもいます。
 それからKYOから子供の描いた絵を集めて編集した資料を頂き、その絵から子供がキャンプ生活をどのように感じているのか等分析もしようと試みている最中です。
 今回のインターンではカレン族やビルマに関して知識がゼロの状態からのスタートだったために、主に情報と資料集めに東奔西走しました。インターンの期間は終了したものの、集めたデータの整理や分析を今後続けていくつもりで、最近では難民やビルマに関する情報を講座や後援に参加して情報・知識の収集を進めています。
 今後はオーストラリアで定住後の難民の生活について調査しようと考えているので、今回調査したキャンプ生活から受けるストレスや精神状態を定住後と比較して第三国定住のあり方を私の視点で見ていきたいと考えています。 

感想
今回の経験は私にとって何もかもが新しく刺激的な日々の連続でした。しかし張り詰めた空気はどこにもなく、スタッフの皆さんは本当に親切で優しくて、毎日が楽しくて仕方ありませんでした。またスタッフや出合ったカレン族の人々は私達研修生をにこにこと暖かく迎え入れてくださって、タイ人もそうだったように思いますが、いい意味でのんびりとしていて寛容で、そういった部分も学べるところが多かったです。
渡航前にはNGOがどんなところなのか、難民キャンプがどんなところなのか全く想像もつかなかったのが、たった1ヶ月でぐんと「難民」との距離が縮まりました。難民とは出会うことのないだろうニュースの中の別世界の人のような感じを覚えていましたが、実はとても身近な存在で、気づかなかっただけのようです。難民に限らず、今まで遠くに感じていた貧困問題や地雷、紛争問題など受身の姿勢で勉強してきたことは、実は私が自分から近づこうとしなかっただけで探してみれば、能動的になってゆけば、とても身近なことでした。
今回のインターンでは、設定したテーマの学習も出来ましたが、それ以上に多くのことを得た気がします。あの環境だから学べたことがたくさんあって私自身の成長にもなりましたし、ターニングポイントになるかもしれないというくらい将来を考える上でも大きな影響を受けたと思います。同じ日程でインターンに来ていた同年代の研修生と一緒に過ごすことが多かったのもとても刺激的で、研修に関することだけでなく、日常生活においても、アクティブな彼女から学ぶところは大いにありました。
「参加して本当に良かった」が率直な感想です。インターンの時の姿勢を崩さず、今後も自分の興味関心に積極的であろうと思います。

「3ヶ月の研修を終えて」

立命館大学大学院国際関係研究課
笹井万友美

 昨年の愛知万博、どうにかしてSVAの活動に関わりたいと地球市民村でのSVAの出展でのボランティアをさせていただきました。そこでの1週間、難民キャンプの図書館を再現したパビリオンで私自身が来館者の方々に活動を説明したり、職員の方から実際の現場のお話を教えていただいたりとかなり充実日々をすごさせていただき、またますますSVAの活動している現地へ行って現実を知りたいと思うようになりました。そこでぶつぶつ「現地にいきたいんですけどぉ」といっている私に東京の職員の方がこの「海外研修プログラム」について紹介してくださりました。それから、1年もたたないうちに本当に現地にいけるとはそのときは思っていませんでしたが、あの時教えていただいていなかったら今頃私は将来の見通しもつかず、途方にくれていただろうと思います。

 さて、私は3ヶ月間、タイのメーソットにある「ミャンマー難民支援活動事務所」で研修を受けてきました。この研修での研究テーマは現地に行くまでは「両親の教育意識調査」と名前だけで何を調査するのかとてもアバウトなもので3ヶ月本当にやっていけるのか不安もありましたが、現地で実際を見るとどんどんそれらの焦点が定まってき有意義な研修が行えました。難民の使うカレン語はもちろんのこと、タイ語もできない私がここまでできたのは、所長の中原さんをはじめ、仕事の合間に「英語→カレン語」「カレン語→英語」の作業をしてくださってスタッフの皆さんのおかげです。本当に感謝しています。

 また、CBSキャンペーンで来日の決まっていたスタッフのプラウィットに約1ヶ月間日本語を教えるチャンスをいただけたことにもとても感謝しています。10月の日本語教師の資格試験の受験勉強をしていたので、それと同時に教えることまでできたのはとてもよい経験となりました。

 3ヶ月間、数えられないほどキャンプ訪問をし、SVAが活動している7キャンプのうち6キャンプに行くことができました。その中でもやはりキャンプに始めていった日の事は今でもとてもインパクトがあり印象深い経験となりました。というのも、SVAのホームページやさまざまな本でタイの難民キャンプについて知っていたつもりだったのですが、やはり「難民=かわいそうな人」となにか、(絵本を読んでいる笑顔の女の子の写真を見てSVAの活動に共感したはずであるのに)とても悲壮な顔をしている人をイメージしてしまっていたので、楽しくメーソットから来た図書館スタッフとダンスを踊ったり歌を歌ったりしている姿には驚きました。そして、図書館活動が本当に「心の栄養」になっていることも実感しました。

 今回、私が「タイの難民キャンプに行ってくる」と言った時、たびたび国際関係研究科の友だちからも「えータイに難民いるんやぁ」という答えがかえってきました。また、父などは「まゆちゃん、カンボジアいくんやんな」など、娘の行く場所もわかっていない状態でした。このように、私は難民の教育を研究のテーマにしているからタイの難民キャンプを知っていただけで、日本を始め、世界、またタイであってもこのミャンマー難民キャンプの存在を知っている人、ミャンマーの現在の状態を知っている人はあまりいないのが現状ではないでしょうか。

 この研修中、何度も何度も考えたことがありました。「私にできることはなんだろう」。「名ばかりの大学院生だし、なんも私にできないや」。逃げてばかりいましたが、研修が始まって1ヶ月ぐらいたったころから「私にできることは、この実情をより多くの人に知らせる」ことだと思うようになりました。研修中も友だちに煙たがられるほど、ブログでキャンプに行って自分の感じたことや国際協力についての自分の考えなどを知らせてきました。日本に帰国してからも地道にキャンプの現状、私の感じたことを友だちや先生に伝えています。これはこれからもずっと続けていきたいと思っています。

 研修中「私が3ヶ月もオフィスにいて邪魔ではないか」と心配していたのですが、あるスタッフから最後に「僕はまゆみからほんものの笑顔がどんなに重要かしりました。人を楽しませる、ハッピーにさせるためには自分自身が本気で楽しまなければいけないことをまゆみから学びました。あなたはいつも笑顔で私たちを幸せにしてくれました。こんな人にあったのは初めてです。」と、少し私の日本語訳は誇張しすぎですが言われとても感激しました。私がこんなお褒めの言葉をもらえたのは何も私が笑顔を絶やさないよう努力したわけでもなく、メーソットをはじめとするスタッフの方々がいつも楽しませて下さっていたからです。仕事が忙しいときも、私の調査を助けてくださったり、いいアイディアが出てこずイライラしているとき笑わせてくださったスタッフのみなさんのおかげだと思っています。

 日本に帰国して、タイ語の勉強を始めました。次回(できれば来年)現地へ行くときはタイ語でスタッフとも会話したいと思っています。
最後に、所長の中原さんには調査内容についてコメントをいただいたり、家にも呼んでいただいたりと私の文章力では表せ切れないほどお世話になりました。本当にありがとうございました。

「NGO海外研修プログラムを終えて。」 西野佳世

大阪外国語大学ビルマ語専攻3年
西野佳世

 私がこのプログラムに応募したのは、大学で勉強したビルマ語とタイ語を使って、タイ側のビルマ難民キャンプの実態を知りたい思いからでした。しかし、実際にメーソットに滞在して調査をするにあたり、まず言葉の面での問題にぶつかりました。初めは、スタッフとの意思疎通が円滑に行えずに落ち込み、口数も減っていました。しかし彼らの中には、カレン語、ビルマ語、タイ語、英語の四つの言語を話せる人もおり、タイ語で通じなければビルマ語に換えて伝えることもできました。複数言語の運用能力を持つ若いスタッフ達が事務所で絵本の翻訳やキャンプで活動するのを見て、驚くと同時に尊敬・感動しました。

 研修中に私が訪れたキャンプはヌポ、ウンピアム、メラ、メラマルアンキャンプの四つです。とても貴重な体験が出来ました。中でも一番印象的だったのは、メラマルアンキャンプで行われた、新図書館の開館セレモニーです。開館前の準備中、装飾に使う折り紙を折っている時に、私が折っていたものを図書館委員の皆さんは初めて見たようでした。私は彼女たちが日常使っているカレン語を話せないので、ビルマ語と身振り手振りで折り方を教えました。そして当日は私もカレン人の服装でセレモニーに参加しました。図書館前の通りでは、子供たちによる踊りや竪琴が披露され、式が終わると、彼らはどどっと図書館の中に駆け込み、あっという間に床が見えなくなるほどぎゅうぎゅう詰めになりました。入れなかった子供は、図書館の裏手に回って、竹でできた壁の隙間から背伸びをして覗いて見ており、とても楽しそうに笑っていました。皆、興味津々のきらきらした目で、スタッフによるゲームや絵本の読み聞かせ、紙芝居、人形劇等を見つめていました。全ての企画が終了すると、子供たちは部屋の周囲に並べられた本を取り床に座り込み、数人で頭をつき合わせながら仲良く読み始めました。見ている私にも子供たちの喜びが直に伝わってきました。天井を見上げると、私の作った折り紙がぶらさがっています。これは私がここに来た証となるのでしょう。そう思うと一層嬉しくなりました。

 一方、ウンピアムキャンプに行った時にも印象的な出来事がありました。ここでもまた、訪れた私たちを歓迎して色々な踊りや歌、遊びなどの披露があり、絵本の読み聞かせをしていた若い男性は、20年前に越境してきたといいます。その彼の片足は義足でした。自分と年の近い彼が、幼少の頃に足を失ってしまったのか…、これまでどんな辛い思いをしてきたのだろう―と考えると胸が詰まる思いでした。しかし彼は誰よりも明るく生き生きとした表情で絵本を読んでいました。彼の話すカレン語は私には全くわかりませんが、その話しぶりや子供たちの反応を見て、とても楽しい気分になりました。

 今回、私は難民の使用言語に関する問題を調査しましたが、その中で彼ら民族としての団結意識、教育に対する意欲の大きさが強く現れていました。先に綴ったような貴重な体験は、楽しかった、嬉しかった等、全て感じたままの受身的感想ですが、アンケートから彼らの笑顔の裏に隠された一人一人の悩みをも読んでいくと、いつまでも受身的ではいけない、これから私にできることを積極的に探してやっていきたいと思うようになりました。研修は終了しましたがこれからも活動は続けていこうと思います。たった一ヶ月間の研修でしたが、私を支えて下さったSVA東京、メーソット、カンチャナブリ、メーサリアン事務所のスタッフの皆様、また、先に研修に来ていた菊池さんやその他大勢の方々にも大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。有難うございました。

ウンピアムキャンプ子どもと一緒に